前回からオーバーヘッド動作で生じる外傷・障害について書いてきましたが、今回は成長期の野球肘について書いていきたいと思います。
成長期の野球肘
野球肘は投球動作の反復によって肘関節に生じる疼痛性病態のことを言います。
分類として「内側型」「外側型」「後方型」の3種類存在します。
成長期の野球肘は9〜12歳に起こりやすく、外側型は1〜2%くらいですが内側型は25%、4人に1人発生します。
メカニズムとして肘に外反の負荷がかかることによって、内側では牽引ストレス、外側では圧迫や衝突のストレスが加わることによって発生します。
よって、内側型では内側上顆の裂離や肘MCL損傷、上腕骨内側上顆骨端線離開などおこし、外側型では離断性骨軟骨炎を招きます。
後方型は肘頭骨端線閉鎖不全や肘頭疲労骨折が起こります。
危険因子
投球フェーズにおいてコッキングフェーズで大きな負荷がかかるとされています。
この負荷は肘屈曲角度が浅くなるフォームで負荷が増大し、肩複合体の外旋可動域拡大によって低減されます。
また投球フォームでは投球障害肩同様、肘が下がったまま投球、体が開いたまま投球、骨盤後傾したまま片足立位、リリースが後ろのフォームなどがあり、姿勢も関係してくるため1つずつ改善していく必要があります。
治療
基本的には投球フォームや姿勢を改善します。
内側上顆の裂離においては、数ヶ月の投球中止でほとんどの場合が治癒します。
肘MCLは3ヶ月の投球禁止をこころみて、痛みが残った場合トミージョン手術などの再建術を行います。
上腕骨内側上顆骨端線離開は成長軟骨が剥がれた状態で、ズレが大きい場合は手術が必要です。
離断性骨軟骨炎は保存療法で良くならない場合手術を行います。
肘頭疲労骨折は投球中止で治らない場合だと手術を行います。
肘頭骨端線閉鎖不全も投球中止で治らない場合だと手術を行います。
成長期の野球肘はしっかりと治すことが大切なので無理しないようにしましょう。
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