肩甲上腕関節全体を覆う関節包は、関節の可動性、安定性、運動の誘導に関与しています。
関節包は何層にもなるコラーゲン繊維から構成されています。
関節(関節包)の容積は上腕骨頭の2倍といわれ、関節内はわずかな量ではあるが関節液に満たされ、下垂位での関節内は陰圧に保たれていることで、関節の安定化、ならびに骨同士の衝突を防いでいます。
関節包による肩の安定性
関節包には、内側前方に上・中・下の関節上腕靭帯が存在し、後方にも関節包の肥厚部が認められますが、その形態はさまざまであり報告では靭帯というよりは関節包の肥厚部とすべきとする説もあります。
しかし、大きな可動性を有する肩甲上腕関節の特に弱い部分である前方においては、いずれにしてもこれらは関節安定化機能に重要な働きをすると考えられています。
関節包は上腕骨頭の動きに伴い、各部が緊張します。
これまでの報告では、肩甲上腕関節角度20~30°関節窩面上挙上、内旋/外旋中間位の位置関係で、関節包の張力が均一となると報告されています。
この肢位から、上腕が動くことにより、関節包の各部が運動に呼応し緊張または弛緩しますが、上肢挙上に際しては、回旋を含む3次元的な運動により、関節包の捻じれが生じ、関節の安定化が増すと同時に、上肢挙上90°以降では関節内が陽圧に変わることで、関節の安定化と関節内の保護を図っていると考えられています。
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