肩腱板の腱繊維が断裂した病態で、発症年齢のピークは60歳代で、右肩に好発すると言われています。
原因として、加齢や繰り返される機械的刺激(肩の使い過ぎ)、循環障害などが発症要因となります(変性腱板断裂)。外傷など(重いものを持つ、肩を打撲する、肩関節を脱臼する)によるケース(外傷性腱板断裂)も多い。
病態生理は、変性や外傷によって腱板を構成する棘上筋腱・棘下筋腱・肩甲下筋腱が断裂する(連続性を失う)。全層(完全)断裂と部分(不全)断裂がある。
症状・臨床所見は、肩の運動障害(挙上困難)・運動痛・夜間痛が主症状となります。痛みが強いことから不眠をまねき、着衣にも支障をきたします。筋力が低下し、おもに外転位を保持することができません。
外傷性腱板断裂の受傷直後は、自動運動(肩を自力で動かす)が困難となります。
検査・診断として、身体所見で①棘上筋の筋力低下②外旋筋の筋力低下③インピンジメント徴候が揃えばほぼ診断はつきます。また、MRIによって腱板断裂を確認して診断を確定します。
治療法は、保存療法では局所の安静・NSAIDsの投与・ステロイド関節内注入などで、痛みが取れたら振り子運動を始めます。
保存療法で改善されないケースでは、手術療法(関節鏡視下腱板断裂修復術)が検討され、治療期間の短縮・筋力回復・断裂の拡大予防を目的として行われます。
肩関節の機能を回復させるためにリハビリテーションは非常に重要となります。
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